ものがたり戦後労働運動史・

安井郁(やすい・かおる)

 1907年~1980年。大阪府出身。30年東大法学部卒。43年東大教授。太平洋戦争に肯定的な論をとなえたとして、戦後、公職追放指定をうける。追放解除後は、神奈川大学と法政大学の教授をつとめ、53年東京・杉並の公民館長となる。54年3月のビキニ水爆実験以後、「原水爆禁止署名運動杉並区協議会」を結成した。署名の拡大のなかで「原水爆禁止署名運動全国協議会」が結成されるとその理事長に就任、55年8月、広島で第1回原水爆禁止世界大会を開催した。この直後、原爆禁止日本協議会(原水協)が結成され、理事長に就任した。58年、国際レーニン平和賞を受賞。そのご原水爆禁止運動は、政党間のはげしい対立のなかで混乱し、65年に理事長を辞任。67年以降、「原爆の図丸木美術館館長」などをつとめた。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との親善運動にも参加した。著書に『民衆と平和』(55年)『国際法学と弁証法』(70年)、歌集『永劫の断片』(77年)、私家版『道=安井郁・生の軌跡』(83年)などがある。各種大会などでの演説は明瞭かつ感動的だった。