統一労働同盟について
高野実を軸とする総同盟と共産党系との統一労働同盟の構想がどこまで具体化していたのかはひとつの謎である。本文では、高野自身の記述にしたがったが、高野らと共産党との会談の実在を否定する見解もある。しかし、山花秀雄の回想によれば「単一組織結成にむけてどうしたら一本化できるか、という話しあいを共産党の幹部に申しいれ、何回も秘密裡に会合をかさねました。共産党のほうが徳田球一、伊藤律、長谷川浩ということで、われわれは、私に、高野、それに荒畑氏をくわえて交渉にのぞみました」とあり、かりに高野のいうように1回だけの会談ではないにしても、話しあいがおこなわれたことだけはたしかであるといえる。ただし、出花の回想では話しあいがまとまったとはされていない。