トラック運輸産業が社会のライフラインであり続けるために
―そのための労働組合の役割―
坂井 俊文(運輸労連・全日通労働組合中央本部)
<論文の概要>
物流は、日常の経済活動を下支えするライフラインとしての重要な役割を果しているが、規制緩和実施以降、トラック運輸産業においては、事業者数が大幅に増加したことに加え、国内における貨物量の減少から、業界は厳しい競争に晒されている。加えて、過重な税負担や安全・環境対策、燃油費高騰などの外的な課題、さらには過当競争による運賃下落や産業の多重構造などの内的な課題への対応など、業界として解決していかなければならない課題が山積している。そうした課題に対し、これまで事業者や行政、さらには労働組合を含めて様々な取り組みを行ってきたが、解決が図られなかった課題も多い。こうしたトラック運輸産業が抱えている課題を解決していくためには、運賃水準を維持するための全都道府県における特定(産業別)最低賃金の設定が必要であるとともに、それを実現するための、新たな対象者を含めた組織拡大の取り組みが急務となっている。これら2つの取り組みが、今後の労働組合の運動の中心となっていくのではないかと考えている。
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