労働組合の社会的役割を考える
―連合の東日本大震災への対応をめぐって―
松永 優紀(公益財団法人総評会館)
<論文の概要>
これまでの日本経済・社会の中で、労働組合は春闘など経済的かかわりを中心にして、様々な社会的役割を担ってきたといっていい。2011年3月に発生した東日本大震災は、地震、津波、原発のシビア・アクシデント、液状化等を含む戦後最大の複合災害となった。これに対し、様々な団体や個人が震災救援、支援に携わったが、働く人の代表である労働組合もその社会的役割を発揮するために活動を展開した。本稿では、その中でも我が国最大のナショナルセンターである連合の取り組みを事例として取り上げ、労働組合の社会的役割について考察を試みる。
一般的に言われるところの社会的役割と労働組合として取り組むべき社会的役割は、積極的な意味での組織の志向性の違いから必ずしも同一ではありえず、「働くことを軸とした安心社会」を目指す連合は全ての働く人の立場に立ってあらゆる活動を展開すべきである。今回の東日本大震災への対応では、連合救援ボランティアに代表されるように一定の社会的役割の発揮を果たすことができたといえるが、現在に至っても取り組むべき課題は残っているのではないだろうか。
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