第11回マスターコース修了論文集


労働時間の再定義
―在宅勤務の労働時間性の検討を通じて―

角田 貴理(全国労済労働組合連合会・全労済労働組合)

<論文の概要>

 数年前にホワイトカラーエグゼンプションの議論があったように労働時間と賃金を切り離す傾向がある。それは働き方が多様化し、労働時間の定義である「指揮命令下説」がうまく対応できていないからである。労働時間と賃金を切り離すことは、残業時間を抑制するなどの労働時間の重要な役割を捨てることであり、避けるべきであると考える。そこで、「指揮命令下説」がまったく想定していない在宅勤務をもとに労働時間の再定義を図ることにした。
まず、在宅勤務がテレワークの一つの形態であることから、テレワークの歴史・実施状況等を把握し、在宅勤務の実態把握も行った。次に、事業場外労働のみなし制等の法律上の柔軟な労働時間制度および「指揮命令下説」等の労働時間の定義に関する考え方を確認した。その後、在宅勤務をもとに、「事業場外労働のみなし制」「指揮命令下説」「限定的指揮命令下説」「相補的二要件説」のいずれが労働時間の定義として適切であるかの検討を行い、「相補的二要件説」が最も適切であると結論付けた。そして、労働時間の再定義の検討結果および携帯情報端末により労働時間の把握が可能であることを踏まえて、事業場外労働のみなし制が制度として不要であることを明らかにした。

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