『私の提言』

佳作賞

学生アルバイトの安心社会の実現に向けて
-まもる・つなぐ・創り出す の各視点から-

中村 猛利

1.はじめに

 現在、高校生の8割が大学などの高等教育機関へ進学し、大学生の8割がアルバイトを経験している。大学の数は、803校(国立86、公立98、私立619)あり、在学者数は291万人いる(注1)。中学校や高等学校、大学では、勤労の権利と義務、労働三権、労働組合などに関する労働教育が体系的に行われている。しかしながら、厚生労働省の大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果によると、アルバイト経験者のうち約6割の人が何らかのトラブルに巻き込まれている(注2)。また、若者(高卒、短大卒、大卒)のうち、平均3割の学生が就職後3年以内に離職している(注3)。このような状況から、ワークルールの知識や勤労観についての労働教育が不十分であるといえる。学生は、ワークルールを知らないままアルバイトをすると、単にトラブルに巻き込まれるだけではなく、将来、誤った勤労観を持ったまま働いたり、ブラックな働き方を許容・黙認する風土を助長する可能性を否定できず、特に、初めてアルバイトをする(労働者となる)時に正しいワークルールや勤労観を持つことが極めて重要である。そこで、学生アルバイトの安心社会の実現に向けて、-まもる・つなぐ・創り出す-の切り口から提言する。

2.学校における労働教育の現状と課題

 労働教育は、中学校や高等学校では勤労や労働に関して学習指導要領に基づいて学習しており、大学ではキャリア教育が義務化されている。次に、学校における労働教育の概要と滋賀県の取り組みと課題について示す。

(1)中学校における労働教育

 中学校学習指導要領をみると、公民的分野では「勤労の権利と義務、労働組合の意義及び労働基準法の精神について理解すること」。特別活動では「社会参画意識の醸成や勤労観・職業観の形成」とある(注4) 。滋賀県では、平成19年度から、県内のすべての公立中学校で5日間の職場体験に取り組み、職場体験を実施し、働く大人の姿にふれたり、自分の生き方を考えたりする機会とし、自分の進路を選択できる力や将来社会人として自立できる力を育てようとしている。

(2)高等学校における労働教育

 高等学校学習指導要領をみると、教育課程編成の一般方針に「学校においては、地域や学校の実態等に応じて、就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし、勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする」とある(注5)。滋賀県の高校生向け「職場体験、インターンシップ」をインターネットで調べると、かいご・ふくし職場体験のほか、普通科におけるキャリア教育支援事業就業体験事業など特色のある教育が一部の高校で実施されている。

(3)大学における労働教育

 大学においては、2011年に施行された大学設置基準により、キャリア教育が義務化されている。文部科学省「平成28年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)」によると、キャリア教育は、ほぼすべての4年生大学で実施されており、多く開設されている科目(割合)は、「勤労観、職業観の育成を目的とした授業科目(87.4%)」、「資格取得、就職対策等を目的とした授業科目(82.6%)」、「インターンシップを取り入れた授業科目(78.0%)」がある(注6)
 滋賀県では、産官学金労(41団体)にて滋賀インターンシップ推進協議会を形成し、「しがプロインターン」として取り組みを行っている。インターンは、2コース(課題解決コース、業務体験コース)が設定され、プログラムはオンライン事前研修、企業・学生交流会、インターンシップ実施(5日間)、課題提出からなる。連合滋賀は、オンライン事前研修時にワークルール周知の必要性を提案して採択され、2021年以降、約200人のインターン生に対して労働教育を行ってきた。

(4)学校教育における課題

 このように、学校教育において、一定の労働や勤労に関する教育の枠組みがあり、労働教育が実施されている。連合の調査によると、職場体験・インターンシップに参加したことがある割合は、中学生では60.3%、高校生では23.6%、大学・短大・専門学校・大学院では16.3%であり、何かしらの職場体験・インターンシップに参加したことがある割合は78.1%であった(注7)。しかしながら、先にも述べたとおり、大学生等(大学生、大学院生、短大生、専門学生)のアルバイト経験者のうち約6割が何らかのトラブルがあったとしている。トラブル内容の主なものは、採用時に合意した以上のシフトを入れられた(14.8%)、一方的に急なシフト変更を命じられた(14.6%)、準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった(13.6%)などがあり、労使間のトラブルと労働基準関係法令違反のおそれがある内容であった(注2)。つまり、学校における労働教育だけでは、ワークルールなどに関する知識や勤労観が不十分であるといえる。
 連合滋賀は、2014年から滋賀大学経済学部で連合寄付講座を実施しており、ワークルールに関する認知度を受講生にヒアリングすると、男女平等や労働三権については中学校や高校の授業で学び知っていたとの回答が多く、逆に、アルバイトにも有給休暇が適用される、割り増し手当、最低賃金、就業規則、アルバイトの辞め方など、労働者の基本的な権利を知らない学生が多かった。

3.学生アルバイトに対する提言

 塙は、『「労働教育」の必要性と新たな提言-小学校における「労働教育」の実現に向けて-』の中で、中学校と高等学校の労働教育や大学におけるキャリア支援の現状と課題をとりまとめ、文部科学省に向けた連合の提言を踏まえた上で、小学校の労働教育の必要性について述べている(注8)。ここでは、小学校や中学校、高等学校、大学などの各段階における労働教育ではなく、学生アルバイトを主なターゲットとした安心社会の実現に向けて、-まもる・つなぐ・創り出す-の切り口からそれぞれ提言する。

3.1 まもる視点 -労働安全衛生法における導入教育に関する提言-

 学生アルバイトを労働条件上のトラブルから守るには、ワークルールを正しく理解する事が大事である。連合滋賀の寄付講座において、毎年、学生と対話すると「ワークルールを知る事は自分の身を守るうえで大切だ」との声を多くの学生から聞いている。ここでは、労働安全衛生法で定める導入教育と労働条件契約書に着目し、「まもる視点」から導入教育について提言する。

(1)労働安全衛生法における導入教育とは

 労働安全衛生法(以下、安衛法とよぶ)では、事業者が新規に労働者を雇う際、労働者に対して導入教育をすることを定めており、「事業者は、労働者(常時、臨時、日雇等雇用形態を問わず)を雇い入れたとき、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行う必要がある」。導入教育で着目したい点は、正社員だけが適用されるのではなく、パートタイマー及びアルバイトなど短時間労働者に対しても適用される点である。しかしながら、滋賀大学の学生にヒアリングするとアルバイトに対して導入教育を実施しているところが少なく、世間においても同様の状況と推察される。なお、教育内容は、安衛則第35条で作業手順や安全又は衛生に関する事など8項目が規定されている(詳細は安衛則参照)。

(2)導入教育における提言

 導入教育に関する提言として、安衛則第35条の8項目の導入教育に加え、新たにワークルールに関する労働教育の追加を提言する。教育内容としては、労働条件通知書の内容説明を主軸に、近年増えている精神障害や脳・心臓疾患の予防に繋がるワーク・ライフ・バランスに関連した内容(休憩時間、有給休暇、労働時間など)や、トラブル事例が多い割り増し手当などワークルールに関する教育と困った時の相談先などが挙げられる。教育時間は30分以内が適当と思われる。教育機材の一例として、労働条件通知書を用いるほか、連合の「働くみんなにスターターBOOK」や厚生労働省の「これってあり?まんが 知って役立つ労働法 Q&A」が活用できる。厚生労働省の資料は、まんがで端的にワークルール等を説明しており、学生に読みやすいように工夫されている。講師は、本来であれば事業者が実施すべきであるが、労働組合がこのセクションを担っても良いと思われる。また、開催形態は対面が1番であるが、コロナの状況によってはWEBを用いた集合形式や映像教育も想定できる。
 安衛法の枠組みの中での取り組みとして、導入教育の重要性に鑑み、正社員だけでなくパートやアルバイトにおける教育の実施状況やその質について、改めて調査・分析を行い産官学で実態を共有し、分析結果次第では事業所に対しての罰則強化を含めた法改正も必要と考えられる。また、法改正までには時間が必要であることから、国からの指針やガイドライン、通達とした、問題意識の改革の取り組みを並行して進めることが必要と考えられる。

(3)参考:労働条件通知書とは

 労働基準法(第15条)は、労働者を雇用する際、使用者に対し労働者に労働条件を明示することを義務づけている。特に、明示義務のある重要5項目(働く期間、働く場所・仕事内容、働く時間・休みの日、給料、退職に関すること)は、書面で明示する必要がある。労働条件の明示は「パートタイム労働法」や「労働者派遣法」にも定められており、たとえアルバイト・パート・派遣社員といった場合でも、必ず労働条件通知書を作成する必要がある。しかしながら、滋賀大学の学生に労働条件通知書についてヒアリングすると、「書面で渡された事がない」、「書面で頂いたが読まなかった」など、その重要性が認識されていないのが実情であった。また、厚生労働省の大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果によると、労働条件を示した書面を交付していないものが58.7%あり、そのうち働く前に口頭においてですら具体的な説明がなかったものが全体の19.1%あった(注2)
 厚生労働省は「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書」をとりまとめ、労働条件を確認していれば防げたトラブルがあると指摘しており、この報告書以降、厚生労働省でも労働法や制度に関して様々な学習媒体を作成・配布しているが、なかなか改善されていないのが実態である。主な指摘は次のとおりである(注9)

  • 労働条件が明確にされていないことに起因するトラブルが見られる
  • 労使ともに基礎的な知識の不足から生じたと思われるトラブルも見られる
  • トラブルにあった際の的確な相談先を知らない者が多い

3.2 つなぐ視点 -連合寄付講座に関する提言-

 連合滋賀は、滋賀大学経済学部で連合寄付講座「現代の経済:働くこととワークルール」を開講しており、筆者は担当として実際に講師の立場になった事と学生の所感(各回の講義毎に提出)を見る度に、本当に重要な取り組みだと肌で感じている。また、学生から新たな気付きを得ることも多く、若年層と連合が接点を持つ貴重な場であり双方にメリットがある。ここでは、連合寄付講座が連合と大学生(学生アルバイト)が繋がる貴重な場となる事から、「つなぐ視点」から寄付講座の普及について提言する。

(1)連合寄付講座とは

 連合寄付講座は、2005年からスタートし、連合本部または地方連合会が公益社団法人教育文化協会(以下、教育文化協会)と連携して、これから社会に出る若い世代に向けた労働教育事業として開設し、労働組合の役割や労働運動の意義について発信するとともに、働く上での課題を理解し、その課題解決力を養うことを目的に大学の正規の授業として実施するものである。基本となる講義内容としては、15講座の開講プログラムが作成されている。近年の寄付講座の開講状況は、21都道府県で地方連合会が21大学、教育文化協会が6大学の計27大学に対して実施しており、ここ数年は実施する大学数が概ね横ばいである。寄付講座を実施している大学の数と割合は、大学803校あるうちの僅か27大学、率でいうと3.4%となる。
 将来的には、大学(803校)だけでなく、高校(4,856校)や高等専門学校(57校)、専門学校(2,754校)、短期大学(315校)まで視野にいれたい。なお、地方連合会においては、高校に対する労働教育を開催しているところが一部みられる(連合大阪、連合愛媛、連合埼玉、連合静岡など)。

(2)連合寄付講座における提言

 ここでは、大学生(学生アルバイト)と連合・地方連合会が繋がりを持つため、連合寄付講座を全国で開講することを提言する。現在、21都道府県で開講しているので、新規に26都道府県での開講を目指すものである。連合や地方連合会、教育文化協会は、限られた人材、財源の中で寄付講座に対応しており、ここ数年は実施する大学数がほぼ横ばいであることから、教育体制の整備(講義資料の整備と教育人材確保、質疑の情報共有)について提言する。

1)講義資料の整備

 教育体制の整備の1つ目として、講義資料の整備をあげたい。筆者は、連合滋賀で中断されていた寄付講座を再開する際、講義プログラムおよび講義資料に苦慮した経験がある。地方連合会においては、限られた人材で連合運動全体を推進しているところもあり、講義資料のたたき台があれば、準備にかかる負担が軽減されるのは言うまでもない。講義資料の雛形については、連合本部や教育文化協会が中心となって作成するのが望ましく、これまで講義を担当してきた方に協力依頼することや外注する事で対応が可能と考える。このように、講義資料を整備することで、新規に取り組む地方連合会の負担が大いに軽減されるし、寄付講座担当者・講師に対する研修も可能となり、寄付講座の質向上にも繋がっていくと考えられる。

2)教育人材の確保

 教育体制の整備の2つ目として、教育人材の確保をあげたい。今後、全国で開講していく場合、講師不足が想定され、連合本部または教育文化協会に(仮称)教育専属チームを立ち上げ、人・金・物などの必要な資源・体制を整えるのが有効と考える。可能であれば、連合本部の組織化の体制(オルガナイザー制度)のように教育専任者を配置できればベストである。なお、教育機能を集約することで、学校情報のデータベース化(対象校のリスト化と進捗管理など)が可能となり、具体的な開講目標の設定や戦略立案が可能となる。また、地方連合会と情報を共有化することで、地方の情報や地元出身者のネットワーク(例えば出身高校や出身大学の紹介)の活用などアクションの幅が広がると考えられる。

3)質疑に関する情報共有

 教育体制の整備の3つ目として、質疑応答の情報共有(データベース化)をあげたい。
 連合滋賀の寄付講座では、講義に関する質疑をその場で受け付け、さらに各回の講義の後にレポートで所感と質問を記入するシステムとしている。学生の質問で多いのは、組織率が低い理由や労働組合加入のメリット、ブラック企業関連、最低賃金全般、ハラスメント関係がある。講義中の質問はその場で回答し、レポートに記載された質問は、後日、回答している。筆者は、回答に苦慮したときには、連合本部に回答を確認しており、質疑応答のデータベースがあると実務担当者には有用である。さらに、学生がどんな疑問をもっているか、その動向を集約することで連合運動の参考にもなり得る。データベース化については、寄付講座を開催している地方連合会から情報を得ることになるが、まずは協力が得られるところから情報を収集し、ノウハウを蓄積することが最良である。

3.3 創り出す視点 -社会運動創出に関する提言-

 労働者は、使用者に比べると立場が弱く、アルバイトはより立場が弱く、さらに、学生アルバイトにもなるとより一層立場が弱くなりやすい。だからこそ、立場の弱い学生アルバイトを連合が支援する意義があると考える。そこで、若者、とりわけ学生アルバイトに着目し、最近、連合が創設した2つの取り組みを紹介し、「創り出す視点」から「れんごうの日」を基軸とした新たな社会運動を提言する。

(1)連合の社会運動-若者とともに進める参加型運動と2021連合アクション-

 連合が最近創出した社会運動の1つ目は、2021年から若者とともに進める参加型運動の展開がある。主な内容は、Z世代が考える社会をよくするための社会運動調査や座談会(Z世代×社会運動×労働組合)、次世代を担う若者との意見交換などが挙げられる。今後、連合アクションイベント(2022年7月29日)を展開し、新しい運動スタイルに若者の視点を取り組み、多くの若者が参加する運動を目指している。

 2つ目は、2021連合アクションである。これまでは、毎月05日(れんごうの日)に、地方連合会が主体となって独自のテーマで街頭行動等を展開していた。これを2021連合アクションでは、連合・構成組織・地方連合会が一斉に同じテーマ・タイミングで行動・発信し、より共感が得られやすくなるように運動の仕方を転換している。これまで実施したテーマの一例としては、みんなの春闘(2月)、政治に関心を(5月)などがある。さらに、SNSの活用として、連合チャンネル「あつまれ!ユニオンスクエア」での生配信やツイキャスなどの取り組みを展開している。

(2)アルバイトに向けた社会運動に関する提言

 学生アルバイト向けの社会運動としては、厚生労働省と各都道府県労働局が平成28年度以降、4月から7月にかけて、全国の大学と連携し「アルバイトの労働条件を確かめよう!キャンペーン」(注10) を実施しているが、認知度が高いとはいえない。そこで、「れんごうの日」を基軸とした新たな社会運動として、「アルバイトの労働条件を確かめよう」の展開(機材の整備と全国キャラバン)について提言する。

1)機材の整備:アルバイト労働条件チェックリスト(仮称)

 社会運動を展開するため、機材の整備:アルバイト労働条件チェックリスト(仮称)としてチラシの作成をあげたい。チラシの記載内容は、アルバイトにとって重要な項目(休憩、割り増し賃金、最低賃金など)を簡単にチェックできる内容に加え、実際に困っているアルバイトに対し、どう行動すれば良いのか対処法や相談先を記載することが重要である。単に法的な内容を確認したい場合は「労働相談自動会話プログラム ゆにボ」を、パワハラなど緊急なお困り事は「なんでも労働相談ホットライン(0120-154-052)」や「メールでの労働相談」の紹介を、更に、労働組合に相談することについても記載する。相談先や対応方法まで記載することで、アルバイトにとって連合や労働組合が「必ずそばにいる身近な存在」になりえると考える。なお、分量については、A4用紙1枚が妥当であり、連合が発行している「春闘職場点検チェックリスト(A4用紙1枚)」が参考になる。

2)全国キャラバンの展開

 連合九州ブロック連絡会では、春闘時に「春季生活闘争 九州一周キャラバン」の行動を展開している。この取り組みを参考にし、4月から7月にかけて、全国の地方連合会と連携した「アルバイトの労働条件を確かめよう!全国一周キャラバン」を提案したい。全国キャラバンの運行方法は、専任者が全国を訪問することや連合地方ブロック単位を繋ぐこと、全ての地方連合会を繋ぐことが考えられるが、マスメディアに取り上げられやすい手法が好ましい(現状の「れんごうの日」に地方連合会が一斉に展開することも考えられるがマスメディアには取り上げられにくいと考える)。その他、マスメディアに取り上げられる工夫として、トラック広告の活用や関係団体との連携、首長訪問等が考えられる。

3)その他:SNSの配信と音源の準備

 連合がすでに取り組んでいる配信形態、「連合チャンネル」や「あつまれ!ユニオンスクエア」、「ツイキャス」の展開も視野にいれて取り組み、更に、FacebookやラジオCM用の音源(動画)を準備すると地方連合会が活動を展開しやすくなるのでより好ましい。

4.おわりに

 学生アルバイトの「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、-まもる・つなぐ・創り出す-の切り口から提言した。今後、学生アルバイトをブラックバイトやハラスメントなどから「まもり」、連合寄付講座通じて学生と連合を「つなぎ」、アルバイトの労働条件を確認する社会運動を「創り出す」、このどれか1つの取り組みでも前進することを切望する。
 最後になるが、本提言を契機に、3つのキーワードから何が提言できるか、何をすべきか真剣に考える事が出来た。各セクションの提言には濃淡があり、まだまだ不十分な内容もあるがご容赦願いたい。本提言が連合に集う仲間の目にとまり、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた一助になれば幸いである。


参考文献
  1. (注1) 文部科学省(2021),「令和3年度学校基本調査(確定値)」
  2. (注2) 厚生労働省(2015),「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果概要」
  3. (注3) 厚生労働省,「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」, 〈https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html〉2022年7月16日アクセス
  4. (注4) 文部科学省(2017),「中学校学習指導要領(平成29年告示)」
  5. (注5) 文部科学省(2018),「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」
  6. (注6) 文部科学省(2019),「平成28年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)」,p9
  7. (注7) 連合,「学校教育における「労働教育」に関する調査」,
    https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20141120.pdf?71〉2022年7月16日アクセス
  8. (注8) 塙万里奈(2012),「労働教育の必要性と新たな提言-小学校における労働教育の実現に向けて-」,『第9回「私の提言」入賞提言集』,日本労働組合総連合会
  9. (注9) 厚生労働省(2009),「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書」,p4
  10. (注10) 厚生労働省(2022),「令和4年度 アルバイトの労働条件を確かめよう!キャンペーンの概要」

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