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寸評國學院大學経済学部教授 橋元秀一 応募論文は、自らの生活や労働組合活動に根ざした視点から、あるいは近年に問題となってきている論点について自分なりの視点から書いており、現代的な課題について多彩な見解が寄せられた。それぞれ、我々が受け止めるべき問題を提起せんとする意欲作であった。 |
寸評東海大学教養学部教授 廣瀬真理子 今回の「私の提言」への応募論文を読ませていただき、応募者おひとりお一人が、日々の仕事に追われながらも安易にその環境に流されることなく、立ち止まって働くことの意味を考えていらっしゃる真摯な姿が目に浮かびました。そして、よりよい労働・生活環境を築くための主張や提言には、多くのエネルギーを感じました。 |
寸評志縁塾 代表 大谷 由里子 今回は、論文、提言というよりは、現場を綴ったものが多かった。また、文字数もそんなに多くないものが多く、「これは論文としてどうか」などという議論が運営委員の中で交わされた。中には、「優秀作はいらないんじゃないか」という声も上がった。けれど、「現場の声が届くことが大切」ということで、例年通り、優秀作、佳作を選ばせていただくことになった。 |
寸評民主党 参議院議員 吉川 沙織 「私の提言」連合論文の運営委員として、初めてその選考に携わる機会を頂いた。よって、前回までとの比較は困難であるものの、今回の応募論文を概観する限り、以下の2つのアプローチに大別出来るのではないかと、個人的に捉えている。 今回、運営委員多数の推薦を得て優秀賞に選出された井上由香氏の論文は、井上氏自身のこれまでの現場第一線での活動から得られた提言そのものであるからこそ、運営委員の共感を呼んだのではないかと考えている。論題にもある通り、コミュニケーションが基本であるとしているが、これは組合活動に限らず、社会生活を送るうえで全ての基本になる行為であることは誰もが認識するところであろう。しかし、現在の社会においては雇用情勢の悪化や成果主義の導入など、人と人とのつながりが希薄となり、コミュニケーションそのものが危うくなっている現状に鑑み、原点に立ち戻る姿勢が今こそ求められるものと考える。 他には佳作に選出された翠川氏、平本氏、野口氏が上記(1)、(2)の観点から印象に残る論文となっているが、一般からの応募となった平本氏の論文は現代の社会が抱える問題点が列挙されているのみならず、評者自身の体験とも重なることから共感するところが多い作である。評者自身、就職活動を行ったのが1998年であり、今またその再来と言われる就職氷河期真っ只中の世代であることから、学校を卒業して社会に出ようとした時の経済状況でその若者の人生が左右されるような状況は、非正規雇用の問題、格差拡大防止の観点からも是正されなければならない課題であると強く認識している。 全体的には組合活動への提言として、労働者の中の弱者を守ること、次代を創ること、次世代育成の観点から男性の意識改革を促進すること、それぞれの思いが込められた論文を拝読するにつれ、組合活動のあり方、その存在意義を改めて考えさせられる機会となったが、連合にはこれら論文を契機とし、提言を行動として活かして欲しいと切に願うところである。 |