<写真の部> 木村 恵一
(写真家)「幸せさがし美術展」第2回は、第1回と同様多くの応募がありました。そして幸せさがしのテーマに挑戦した楽しく元気いっぱいの作品をたくさん見ることができ大変心強く思いました。相変わらず不況下ニッポンの昨今ですが、入選した作品をみていますと不況風など吹き飛んでしまうような素晴らしい作品に心が豊かになります。当たり前のことですが写真は撮らなければ写りません。そして心を豊かにし写真を撮ることに喜びを感じなければ素敵な写真は写りません。入賞された方々の写真は自分自身の感情を表現することに生き甲斐を感じて撮っているからこそ優れた作品をつくりあげることができたのです。 大賞の「夏のひととき」は心なごむ光景で、いつまで見ていてもあきない楽しさでいっぱいです。素晴らしい出会いの瞬間を絶好のフレーミングとシャッターチャンスで捉えた優れた作品です。優秀賞の「喜び」もシャッターチャンスが決め手となりました。今の時代、泥にまみれた元気いっぱいの少年の顔を見ているだけで嬉しくなってしまいます。 次回もまた楽しみにしています。
<書道の部> 川合 広太郎
(NHK学園教諭・書道科)他部門に追いつけ追い越せと今年度から新たに加わった「書道の部」。何よりもうれしいことは「第1回目の審査」にたずさわれたこと。時が経つに連れて形骸化し、本来の審査から離れていく現実があちらこちらで見られる中、そんな公募展にはなってもらいたくないし、してはならない、という強い思いで審査に臨んだ。
「書」は、何度でも書けるがその一回の仕事に後から手を加えることができない。「瞬間の芸術」。言ってみれば「音楽や演劇」にも似た性格を持っているのかもしれない。それだけにたった一枚の作品が語るものは大きい。出品者にとって、おそらくは時間的にも体力的にも、やむを得ず選んだ一枚だろう。「書いても書いても納得いかなかった」「貴重な時間を使って集中して仕上げたんだ」という作品の裏側のドラマが、みなさんの作品から見えてきた。特に、今回受賞した作品からは「上手さ、巧みさ」に加えて、「ちょっとした日常の幸せ」を探そうとこの美術展にかけた強い思いが伝わってきた。大賞に輝いた作品をご覧になれば、誰もが異論のないところだろう。
「忠実に古典に立脚した作品」「古典にない表現方法を自分なりに駆使した作品」と選考には苦労するが、「書」だっていろんな表現があっていい。
純粋に、「よい作品」が選ばれる公募展でありつづけることを願っている。また次回、われわれ審査員の頭を悩ませてほしい。
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