第18回マスターコース修了論文集

中小印刷業における働く女性の環境整備に向けて
― 女性の労働組合参画を中心に考える―

古賀 初代(印刷労連)

<概要>

 印刷業界はもともと男性中心の業種であり、女性比率も低かったことから、これまで女性が活躍しにくい業種であったと言えるが、法改正や制度の改定により、現在は結婚や出産を経験しても働き続けることができる環境が整ってきている。その一方で法律や制度があっても利用できる環境下にない企業も未だにあるのではないかと考える。
 印刷業界は、製造業における事業所数では上位に位置しているものの、従業員100人未満の事業所が98%を占めており、多くは中小・零細企業である。
 デジタル化が進む中、多くの中小・零細印刷会社では未だ紙への印刷が中心であり、その製造現場は男性中心である。製造現場で働く女性は少しずつ増えつつあるが、実際にはごく一部にとどまっている。一方、大手印刷会社においては、ここ近年、IT化、デジタル化への業態変化の影響も大きく、更にDX(デジタルトランスフォーメーション)など事業変革の加速が進んでおり、女性の採用率も高く、女性が活躍できる場が多くなっている。
 本論文では、未だ男性中心といえる中小・零細企業の印刷業界で働く女性が、大手印刷会社と同様にあらゆる職場でより活躍でき、そして継続して就労できる環境整備にはどのようなことが必要か、労働組合としてどのようにアプローチしていくべきかを、中小組織である自組織労働組合の女性へのインタビュー結果に基づき、課題解決に向けた取り組みに向けて考察していく。

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