第18回マスターコース修了論文集

労働組合における「女性活躍」は他人事か
―全日通労働組合における女性の組合参画のために―

向後 智美(運輸労連・全日通労働組合)

<概要>

 日本では、男女共同参画社会の実現に向け、「2020年までに指導的な地位の女性比率を30%に」という目標を達成するため、ポジティブ・アクションを推進し、各機関への働きかけを行ってきた。しかし、目標の水準には到達できず、政府目標は「2020年代のできるだけ早期に」と延期された。連合の「2020年までに女性役員を30%にする」という目標も「2021年9月まで」に延長された。とりわけ、私が所属する全日通労働組合においても、女性組合参画における目標(202030)の実現にはほど遠い現状となっている。
 女性活躍という面では、会社(日本通運)は2017年に本社にダイバーシティ推進室を立ち上げ、遅蒔きながらも女性の活躍を意識して進んできている。しかし、労働組合の組織内における組合執行委員の女性役員比率をみると、約7%と1割にも満たず、残念ながら労働組合における女性活躍は、未だに進んでいないと言える。
 また、全日通労働組合で、私自身が組織内初の女性役員ということから、今後の労働組合における女性役員の選出や育成について、意識改革とともに新たな一歩を踏み出していかなければならない。
 そこで、本稿では、全日通労働組合における女性組合執行委員や元中央本部特別執行委員、また会社ダイバーシティ推進室の関係者の声をもとに、どのような取り組みが求められているのかを考察することとしたい。

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