川邉 竜次(全トヨタ労連・デンソー労働組合)
現在、日本の産業界は「日本のモノづくり」を残していくための、正念場にあると考える。IoT・ビックデータ・AIを代表に「第4次産業革命」の渦中にある。その中でも、大きな変化を求められているのが、何と言っても「自動車産業」であると考える。自動車産業では、内燃系から電動化へと大きな事業変化を今までにないスピードで求められている。こういった環境下では、事業拡充や統合、時には縮小など、労働者にとって働く環境は目まぐるしく変化を遂げる事になる。しかし、労働者の大半は、目の前の業務に追われ、高負荷な状況が続き、長時間労働となり、先の事を考える余裕すらないのが現状である。こういった状況の中で必要になるのは、「現場力」に他ならないと考える。現場力こそ、労働者にかかってくる高負荷を抑えながら、変化への対応をスムーズに進めていく力だと思うからである。私は、「現場力」は、上位の立場の方から与えられる物ではなく、当事者自らが作り上げる物だと考える。まさに労働組合が、最も力の発揮できる分野ではないかと考える。組合の現場力を考える際に、そのカギとなるのが職場役員である。職場の牽引役として選出され、職場メンバーを巻き込み行動していく。「現場力」を作り上げ、高め、維持していく。その大きな役割を果たすべき存在が、職場役員に他ならないからである。しかし、昨今の職場役員をみると、組合活動に対する意識やモチベーションの低下は否めない。まさに目の前の業務に追われている状況。どうすれば、モチベーションを高め、本来の役割である職場の牽引役として、活躍できるかを自身が所属する組合組織の過去の教育体系や職場活動から考えていきたい。
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